特別企画⑨ MJD株式会社「烏瑟沙摩明王」のアンティーク・ゴールド風リペイント

大きな当たり傷がついてしまい、塗装が剥げてしまいました。ということで、越中国高岡山瑞龍寺で販売している「烏瑟沙摩明王」レプリカに〝手を加えて〟みました(正確には〝手を加えてもらった〟なのです)。
売店で販売されていた烏瑟沙摩明王の絵葉書・クリアファイルを購入し、〝金色が目立っているなぁ〟と感じました。この絵葉書・クリアファイルを見て感じたイメージをもとに、又しても知り合いの「スペクトルお兄」さん(https://twitter.com/rsyouta)に改造(リペイント)してもらいました。

 「空也の燻し銀、凄く良かったョ。」
 「他のも塗りますよ。」
 「越中国の瑞龍寺という寺院の烏瑟沙摩明王なんだけれど、残っている金色が綺麗なので、そこを引き出すようにしてもらえる?」
 「いいですよ、何か参考になるものってあります?」
 「絵葉書とクリアファイルの画像を参考に。あとは任せるっ。」
という遣り取りで、越中国から連れ帰った烏瑟沙摩明王を絵葉書・クリアファイルと共にスペクトルお兄さんに託したのです。

「スペクトルお兄」さん(https://twitter.com/rsyouta)も、MJD株式会社様HPから烏瑟沙摩明王レプリカを取り寄せたそうで、像のサイズと姿はわかっていました。ですから「楽しんで塗ってっ」と安心して頼みました。

リペイントの下準備の過程は、「スペクトルお兄」さん(https://twitter.com/rsyouta)のところで画像付き説明が掲載されていますので、そちらをご覧ください。

傷を修繕してもらい、リペイントの準備作業としていったん黒塗りになった様子です。

            (画像掲載許可はいただいております。)

「スペクトルお兄」さん(https://twitter.com/rsyouta)から
 「リペイント、できましたよっ。」
と連絡をもらったので、受け取りがてら飯を食いつつ「塗り」についての説明を受けました。

連れ帰って、箱を開けるのですが、そこから実況しましょうか。

ここは、旅に出す前と何ら変わりはありませんの。

蓋を開けると、

事前に画像を頂戴していたので、変身後の姿を知ってはいたのですが、現物を生で見ると期待感はドンドコ高まっていきます。

梱包を解いて、箱から出てもらうと、

コレですよっ(大賛辞です)。
既に画像では見ているのですが、傷と塗装剥げの痕跡は全く消え去り、見事に〝再生〟された姿に感動でした。

いつもの如く、まわってもらいましょう。

 

背景を黒くすると、凹凸による陰影が際立ちますね。

メタリックな塗装をお願いしたのですが、単純なベタ塗りではありませんよ。

ちょっと暗かったり、

背景が白いと、単色・ベタ塗りの様に見えてしまいますが、

それが見間違いであることを、各パーツに注目して確認していきましょう。

顔を中心とした画像です。
身体の部分は銅色ですが、丁寧に陰影がつけられ、あまりしつこくない絶妙な差し色として緑青(りょくしょう)が入っています。この画像ですと首元、胸の飾り・瓔珞(ようらく)の周辺ですね。

宝冠や腕釧(わんせん)には金色が、着衣にも場所によって金色・銅色が濃淡・色合いを変えて配されています。

これから他の画像でも映り込んでいますが、瞳に赤味の強い銅色が注されています。
これで「目力」(めぢから)が、独得の強さを放つ様になっています。

改造(リペイント)にあたり、
 「好きに塗ってイイから、楽しんで塗って。大丈夫、塗り終わってから文句なんて言わないから。前の空也の仕上がりで安心して任せるんだから。」
と伝えています。

当御所は、「スペクトルお兄」さん(https://twitter.com/rsyouta)に絶大なる信頼を寄せていますのでね(笑)。

明るめにした画像で、顔およびその周辺を視ていきますね。
「瞳」が妖しく煌めいています。〝魂がこもった〟感じです。
勿論、厠(かわや)に祀ることはしませんよ。
傷付いてしまったレプリカを、まさに〝烈火を以て不浄を浄化する明王〟として再生してもらいました。
あとは御所内で火の手が上がらぬように注意しなければなりませんな。

 

宝冠の全体像が判る、顔を正面から観た画像です。

 

左側が今回の改造(リペイント)後の宝冠、右側は改造前の標準状態の宝冠です。
改造(リペイント)では全体を明るい金色で塗られていますが、上部の宝石2個のところはちょっと色合いを変えた金が注されるという小技が効いています。なかなか芸が細かいっ(絶賛)。
明るい金色によって、そもそもの宝冠の繊細な細工が際立ちますね。

宝冠部分を斜めから観ています。
繊細な細工ですね。
後ろに見えている光背の火焔(かえん)と、宝冠の色は揃えられています。

そして胸元の瓔珞(ようらく)にご注目ください。

肌の銅色に強めの陰影と適度な緑青が施され、その上に宝冠と同じ金色が乗せられています。
この彩色で瓔珞がアクセサリーとしての役割を見事に果たしています。

左腕の腕釧にもご注目を。
金色ベタ塗りではありませんね。下地の黒を僅かに残しながら、肌との違いを明らかにしつつ、時の移ろいを感じさせる古美的な彩色がなされています。

肌が銅色なので着衣は主に金色なのですが、下地の残し具合や、身体の銅色と少々風合いを変えたり、陰影や汚しを付けることでメタリックなのに柔らかなうねりを見せる布が見事に表現されています。

ポッチャリしている腹回りの肉感もしっかりと強調されています。
足首を掴んでいる左腕も銅色のベタ塗りではなく、経年の退色・汚れが絶妙なバランスで再現されています。

因みに、左膝の凹みは〝もともと〟のものです。
瑞龍寺モデルの烏瑟沙摩明王を自宅にお迎えされた方々、確認してみてください。
この左膝の凹みが、あるハズですよ。

この画像では、左腕と左膝に注目していただきましょう。
メタリックの顔料が持つ特有の艶やかさが、光の反射も相俟って肉質感をリアルなものにしています。

角度を変えつつ、引いて観た画像です。
右腕の様子も含めて、凄く〝生々しい〟肌になっていますよ。

越中国瑞龍寺モデルの烏瑟沙摩明王に見える独得のポーズ、左手で左足の甲を掴んでいるところです。
親指がハネていますね。
その背景として見えている下半身にまとっている衣は、なかなか躍動感に富んだ造形になっていますが、丁寧に塗り分けられています。
所々に「銀」とまではいきませんが、金や銅に銀色を混ぜたようなアクセントが見られますね。

案外、ポッチャリしておられます。
メタリック塗装なのに、ぷにぷにした感じが伝わってきます。
忿怒の表情をしているのに、このポッチャリ・ぷにぷにって。
先ほどから見ているように着衣も丁寧に陰影を付けながら塗られているので、烏瑟沙摩明王の身体の動き、もしくは風を受けて躍動している様に見えます。

 

上半身・右側からのアプローチです。
複雑にうねる焔髪(えんぱつ)、肌も衣も丁寧に、手間を掛けて陰影をつけてもらい、実に見事な重厚感を纏っておりまする。

挙げている右腕から胸部・脇腹、そして腰にかけての様子です。
脇から腹部の間に衣が掛かっていますが、衣に仕切られている肌の陰影は勿論、緑青・汚しも入れてい経年の色合いを表現しています。
こうして見ると、腰周辺の衣の重ね・向き・襞(ひだ)が複雑に入り組んでいます。
原則、銅一色なのですが、襞の陰影処理がひとつひとつしっかりとなされています。
単純な墨入れではなく、変化をつけての陰影を意識しているので、金属色であるにもかかわらず、布の質感と動きが見ていて伝わってきます。

先ほどの画像よりも、後方にまわって観ています。
大まかに区別すると肌は銅色、衣の部分は金色なのですが、金で塗られた衣の随所に肌とは異なる銅色が注されており、よっく観察すると金・銅の変化・融合を楽しむことができますな。

 

今度は左側からのアプローチです。
肩の衣は艶を意識した、陰影・汚しを控え目の塗装になっています。
実際に光を当てながら、陰影の具合を確認・調整したそうです。
手の込んだ塗りが施されていますよ。

明王様の真後ろに、まわって観ています。
一見、同じ色を塗ったかの様に見えますが、こうして心穏やかに後ろ姿の全体を俯瞰してみると同系の色(金・銅2色)を塗り分けたり、合わせたりと工夫がなされているのが判ります。

 

もう一度、右側からのアプローチですが、腰から足元にかけてを観ています。
瑞龍寺モデルの烏瑟沙摩明王の着衣は、縦横に加えて斜めにも立体的に動きを見せているので、単調なベタ塗りになってしまいがちな所でしょう(普通は塗ろうと思わないでしょうが)。
始めに全体を黒く塗り、形状・凹凸、そして光を当てながら色合いを考えた結果が、この麗しき烏瑟沙摩明王のお姿になりました。

「スペクトルお兄」さん(https://twitter.com/rsyouta)よ、今回も素敵な改造(リペイント)、ホント有り難う。感謝・感激ですよっ。

 

ピンボケになってしまいましたが、光背に備え付けられている3つの火焔です。
円形の枠に、繊細な火焔が配されています。

後ろにまわって観ました。
円形の枠が銅色で、火焔が金色で塗り分けられています。
宝冠の裏側は地の黒さをやや残しつつ、後頭部の揺らめきながら逆立つ焔髪、そして項(うなじ)が、〝最初は華やかに塗られたんだけれど、時間が経過してこんな色合いになったんだよっ〟という感じを見事表現していますね。
「スペクトルお兄」さん(https://twitter.com/rsyouta)、キミ凄いよっ。

 

先ほどの状態を、上から見おろす角度から観ています。
濃淡はありますけれどね、金色と銅色の2色を黒い下地に乗っけているだけで、この変化に富んだ風合いを生み出しているのですよ。
やっぱり「スペクトルお兄」さん(https://twitter.com/rsyouta)、キミ凄いなぁ。

余りにも格好良いので、横顔にピントを合わせた画像を載せましたよ。
〝目が光っている〟のが判りますよね。
各部位については、既に紹介した通りです。

掲げた右手で三叉戟(三叉戟)を持っています。
烏瑟沙摩明王の姿がメインということで、視線が烏瑟沙摩明王に向けられる様に三叉戟は銅の単色塗りにしたそうです。

 

〝烏瑟沙摩明王が主役〟ということで、「猪頭天」(ちょとうてん)には余り手を加えなかったそうです。
黒地から銅色を被せていく訳ですが、その過程で生じた陰影はありますけれどね。
磐(いわ)の台座には大胆に緑青を注したそうです。

角度を変えて観ています。
「猪頭天」には特に注目する塗りは施されていませんが、逆に台座の凹部へランダムに注した緑青が、絶妙なアクセントになっています。

「敢えてイノシシには特別手を掛けませんでした」とは
「スペクトルお兄」さん(https://twitter.com/rsyouta)からの説明です。

猪頭天と台座、後ろ側にまわってみました。
「メインが烏瑟沙摩明王なので」と「台座の溝に緑青を注すことでカッコ良くしました」という説明も
「スペクトルお兄」さん(https://twitter.com/rsyouta)から受けました。
全体を観ると、やはり烏瑟沙摩明王の姿が際立っていますし、凹凸の激しい磐を模した台座の溝へ無作為(意図的でしょうが)に緑青が注されたことで、美麗な烏瑟沙摩明王の煌めき・輝きが増大し、緑青が入った台座に不動の安定感を備えさせていますな。

 

今回の〝烏瑟沙摩明王アンティークゴールド仕様〟(アンティークゴールドと単純には言えない)が、如何ほど〝映えている〟のか?

「スペクトルお兄」さん(https://twitter.com/rsyouta)から頂戴した画像をご覧いただきましょうかね。掲載許可はいただいておりますよ。

 

 

 

 

「スペクトルお兄」さん(https://twitter.com/rsyouta)、今回も素晴らしく素敵な改造(リペイント)を有り難うございました。
これからも色々と改造(リペイント)、よろしくお願い申し上げますよっ(笑)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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