阿修羅 2020 Limited the japan(イSムVIP会員限定商品)

今回は、VIP会員を対象に限定販売された「Limited the japan」と銘打った阿修羅の特別ヴァージョンのお話です。
当該像は2020(令和2)年11月5日~15日までの僅か11日間のみの受注期間だったものです。

モデルとなったのは大和国興福寺が所蔵する国宝「阿修羅」像です。
現在(2020.12.31現在)こちらのHP上で既に紹介済みの阿修羅像はいずれも「イSム」様ブランドが誕生する前の「M-ARTS リアル仏像」ブランドの製品でした。
今回の〝漆塗り阿修羅〟は、2016(平成28)年4月にリニューアルされ、より本物に近づいた「イSム阿修羅」がベースになっています。
国宝・阿修羅は脱活乾漆造の像です。〝漆塗り阿修羅〟は本物とは漆の使用方法は異なり、
「真塗り」と「蒔地」という2種類の塗りが採用されています。

 

左側の顔から胸部にかけての画像は、「蒔地」という伝統技法によります。
塗った漆が乾かないうちに砥の粉等の粉末を蒔いて仕上げています。
右側の宝相華が見える裳の画像は、「真塗り」という、油の入っていない漆に顔料を混ぜて刷毛で塗り放しにして仕上げています。

 

同梱の説明書には

 憂いを帯びた天平の美少年
 緩やかに時を刻む滑らかな漆の魅惑

 その厳格さゆえに戦闘神へと変貌した阿修羅は、娘を奪った
 帝釈天と終わりなき戦いを続けていましたが、仏教に帰依し
 てからは護法善神となりました。
 モデルとなった国宝  阿修羅像は、光明皇后が亡き母・橘三千
 代のために造らせた供養仏の一体で、母を慕う子のような幼
 さを漂わせています.

 当製品は石川県の輪島塗職人「加波次吉漆器店」の協力のも
 と、「イスム阿修羅」に漆で仕上げを施した2020年の限定作
 品です。
                               」

 

では、ほぼ360度回転させてみましょう。

 

遠目から観ると赤褐色の上半身、黒っぽい下半身、州浜座の薄い緑色と色合いが大別されます。

 

正面の顔の様子です。2016年リニューアルにより、表情がシャープになりました。
そこに蒔地の塗りがなされています。
塗り方によって表情は同じでも、印象がだいぶ変わって見えます。

ハッキリとした白目の表現はありませんが、しっかりと瞳が入っています。

 

右側の顔、下唇を噛み締めています。
顔の全面が同一色で塗られているため、表情が際立って見えます。

 

左側の顔、ふくれっ面もしくは少々怒っている様な表情です。
白目の表現があると鋭い眼の表情になりますが、こちらの表現だと鋭さ・険しさが少々和らぐ感じがします。

 

三つの顔の頭部からそれぞれ頭髪がまとめ上げられ、2回巻いて頂部から左右に3束ずつ毛先を垂らす「垂髻」の髪型になっています。
橙色に塗られた頭髪が、肉身部分に塗られた赤褐色と非常にマッチしています。

 

なかなか本物では観る機会が多くない後頭部(正面の顔からすると)の様子です。
左右の顔にとって、正面の顔側に付いているはずの耳が無いことで頭部全体のバランスがとれていることは既に指摘されている通りです。

 

ちょっと目線を下ろし、肩に羽織られている「天衣」の様子を観てみましょう。
真塗りによって艶が際立っています。
凸部が薄くなり、またよく観察するとそれぞれの箇所で濃淡が生じています。
漆の性質として美しい光沢をあげることができます。更に年月を経ることで漆は硬化し、透明になっていくので、今後どの様な色合いに変化していくのか楽しみです。

 

左肩から出ている3本の腕の様子です。
それぞれに腕釧が金色で表現されています。この金色が肌の赤褐色の中でとても見映えています。

肩から腕の出る角度、長さ・細さ、手首の角度と手の形が本物に準拠してバランス良く整えられています。

 

右肩から出ている3本の腕の様子です。
肌の色が同一色なので、またザラついた肌であるところに金色を注すと、金が良いアクセントになっています。

左側と同様に腕の出る角度、長さ・細さ、手首の角度と手の形がバランス良く整えられています。肌が艶やかである点も美しく見えます。

 

現在は失われてしまいましたが、「日」「月」を持っていたと推測されている、左右第一手の掌(てのひら)です。
蒔地の塗りで生まれた肉体の質感・生々しさが伝わってきますね。

調査におけるCTスキャンのデータ分析により、近代に至るまでの修理の過程で腕の角度が変わってしまい、合掌している手が正中線からズレてしまったことが判明しています。
イSム様「阿修羅」は、そうした所も本物に忠実な造型です。

 

上半身・背面の様子です。
肩を覆う「天衣」、その下の肩から右脇下にまわされている「条帛」は、いずれも漆の真塗りが施されています。
花柄の模様が再現されていますが、年月の経過によってこの部分がどの様に変わっていくのか、楽しみです。

 

下半身を覆っている裳の様子です。
この画像では判り辛いですが、宝相華文が配されています。こちらも、時間の移り変わりと共に変身していく様子を楽しみにしています。

 

阿修羅が佩いているサンダル「板金剛」の様子です。厚底サンダルです。
洲浜座は淡い緑色です。赤と緑は相性がよろしいので、色合いの統一感が出ています。

 

 

 

 

 

 

イSム阿修羅は、色の塗りによって無限な楽しみ方ができると感じています。
今回の漆塗りは、その楽しみ方の典型でしょう。複数居る阿修羅の中でも、独特の雰囲気を持つ一体となりました。

 

・・・かつて、2016(平成28)年のイSム様5周年記念でS-Class阿修羅の特別彩色の発売がありました。

                         (イSム様公式HP「NEWS&TOPICS」より)

この時はS-Classの色替えでしたので、全く申し込む意思は持ちませんでした。
もし、こうした取り組みをなされるのであれば是非ともStandardで実施していただきたいですね。
できることならば企画物は連続しないで、世の中で謂う〝ボーナス・シーズン〟に申し込み・支払いができるような配慮をしていただくと申し込みやすく、また嬉しいですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

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